竹内 香予子

元新聞記者がメディアを駆使し、
新しい戦い方で中小メーカーの
新時代を拓く

平安伸銅工業株式会社:大阪府

事業承継の強みとシナジーが働くプロジェクトに経営資源を集中

「平安伸銅工業」は、突っ張り棒などのアイデアグッズを扱う1952年創業の日用品メーカー。2010年、三代目として異業界から家業に入った竹内さんは、生産効率の優先や製造中心の開発を主流とする現場を前
に、「消費者がワクワクする商品が必要だ」と改革に乗り出します。まずは、使い手の声を知るために整理収納アドバイザーの資格を取得。つぎに、生活者目線のものづくりができるように社内の女性スタッフを増やしました。そして2014年、お片付け情報に特化したWebメディア「cataso(カタソ)」を立ち上げ、商品提供だけでなく、暮らしに役立つノウハウを伝えるプロジェクトをスタートします。「メディア運営の実績がないゼロからの『cataso』プロジェクトを、多くの方に知っていただきたいと思ってLEDに応募しました」。

あれから2年半、「cataso」の読者は増え、お片づけ文化を広めることへの賛同者もできましたが、メディア単独での収益化には、より人的な投資や運営資金の投入が迫られました。その一方で、ホームセンター向けの価格競争の激しい商品でしか勝負できない現状を打開するため、ものづくりの新しい領域にもチャレンジ。2016年夏に立ち上げた、女性や家族が楽しめる安全で手軽なDIYパーツブランド「LABRICO」や、2017年春に発売した突っ張り棒のインテリアブランド「DRAW A LINE」が順調な売上げを出しはじめました。「LEDで得たMakuake賞を利用して、『DRAW A LINE』の照明の発売時にクラウドファンディングを実施。目標金額を達成し、伊勢丹新宿店のポップアップショップに出品したことで、他店からの引き合いやメディアの取材が増えました」。竹内さんは、メディア運営よりも、ものづくり事業に経営資源を集中させる決断をしました。

これからも、お客様に必要とされる商品を開発して、「平安伸銅工業」を広く知られるブランドに成長させたいという竹内さん。「今後は自社ECを発展させたいと思っています。そのためには、自社商品の魅力
を伝えるメディアが必要となるので、『cataso』で得た人脈や経験を活かしたい」。選択と集中を経ながら、継承した事業をさらに推進していきます。

(先輩からのアドバイス)
自分のビジネスプランを紙に書いて発表することは、それを実現可能なものに磨き上げるための必要なプロセス。
業種や事業規模は違っても、同じような立場のLEDファイナリストとの交流は貴重。皆さんもそこに参加する一歩を踏み出してください。

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