地域の特産を活かした焼菓子の販売スタート。京都にも拠点を設置。
フランス菓子教室を開いていた小笠原さんの人生の転機は、障害者の女性がお菓子づくりを習いに来たこと。彼女への接し方やサポートの難しさを痛感した小笠原さんは、大阪市立大学の大学院に入学し、障害児・者教育の研究に取り組みます。卒業後の2014年3月に、知的・精神障害者、ニート・ひきこもりの雇用拡充を目的とした株式会社グランディーユを設立。主軸事業は同年7月、堺市にオープンしたカフェの「メゾン・ド・イリゼ」。菓子づくりや接客マナーを学んだ障害者が働き、健康的なランチとフレンチスイーツを提供しています。弁当事業の惣菜づくりは複数の作業所で分担し、雇用拡大に貢献。2015年4月には堺市から委託を受け、「地域活動支援センターぜるこば」を開設しました。
LEDに応募したのは、多くの人に、生きづらさ働きづらさを抱えている生活困窮者の現状を知り、関心をもってもらいたかったから。小笠原さんは見事ファイナリストに選ばれ、9社の企業サポートを受けました。「ファイナリストに選んでいただいたからにはカタチにしたい、永続できる利益を出したい、雇用を拡げたい、事業を拡大したいと、たくさんの展開を考えるようになりました。ゆっくりですが、一つ一つ丁寧に実現化しています」。小笠原さんがLEDでアピールした、地域の特産を活かした焼菓子の開発・販売には補助金があり、パッケージデザイン・味・形などに手直しを加えて本格的な販売を開始します。
「弊社はただ利益を出すだけではなく、そこで働く彼らのつぎのステップにつなげるための中間的就労の場に近い存在です。働くなかで楽しみや苦しみを味わい、人間的に魅力になっていく彼らの活躍の場を広げるため、2017年秋に京都支店をオープンします」という小笠原さん。自立した地域生活を支援するために株式会社としての運営にこだわり、福祉制度に頼らない障害者雇用を実施。「公的な支援がなく、利益を上げていくことは容易ではありませんが、必要だと信じてがんばっています」。もっと魅力的に成長した姿を見てもらい、多くの企業が追随する雇用モデルとなることが目標です。
(先輩からのアドバイス)
LEDに挑戦して、たくさんの出会いや気づきを得ることができました。自分の軸はブレず、さまざまな視点をいただくことで、つぎのステップへ進んでいくことができています。一生に一度の人生を自分の思い描く道にするために、ぜひ応募してください。