菅野 ミキ

靴職人の兄と二人三脚でめざす医療靴のハイセンスブランド

M I K I:兵庫県

整形医療靴から一般靴まで、悩みを解消するハイセンスな靴を目指して

「義肢装具士」という仕事をご存じですか? 義肢装具士とは、医師の処方にもとづいて、身体にさまざまなトラブルや悩みをもつ人々が必要とする義肢や装具をつくる国家資格。その資格を取得した菅野さんは、京都の会社で5年間、義肢や装具の製作に携わります。整形医療靴は、装具のなかの一分野。リウマチや糖尿病、強い外反母趾変形など、何らかのトラブルや障がいをもつ人に合わせてつくられる靴です。「医療や福祉という言葉がつくと、どうしても見ためは二の次でデザインの希望など言えません。でも、そういう希望をもつ方が履きたくなる、おしゃれな整形医療靴をつくりたいと思ったんです」。退社後の2014年、ドイツで修業した兄が営む靴工房「MAMMA」の整形医療靴ブランドとして「MIKI」を立ち上げました。

整形医療靴は知る人がほとんどないニッチな業界。「自分たち以外にも困っている人が大勢いるのに知られていない」「もっとこんな靴が広がればいいのに」というお客様の声をたくさんいただいていた菅野さんは、LED関西を見つけて応募します。ビジネスプラン発表会では、「こんな靴があることを知ってもらいたい」という思いのたけを伝えました。その結果、ファイナリストに選ばれて5つのサポーター賞を受賞。アドバイスをもらえる協力者や味方が増え、心強くなりました。「健常者であっても外反母趾で悩んだり、立ち仕事の女性たちにはパンプスを履きたいという願望がある。それなら、見ためは革靴でも、履き心地はスニーカーをつくろう!」と心に決めた菅野さん。健常者にも気軽に試していただけるように、独自の生産体制を活かした簡易なラインアップを揃えました。

ファイナリストになって菅野さんが受けた最も大きな反響は、「義肢装具士の子がビジネスプラン発表会に出たんだ」という医療業界からの声。幸運にも好意的なものが多く、仕事をまわしていただくことも多くなりました。「いまはMIKIの共感者を増やし、ブランド力を上げたい。最終的な目標は、世界的に有名なファッション誌に掲載されるような、機能性だけでなくデザイン性にも優れた整形医療靴をつくること」と将来を見据えています。

(先輩からのアドバイス)
「私はビジネスに関してまったく知識がなく、熱意だけでぶつかりました。そのおかげで、いろんなことがつながっていっていると実感しています。整形医療靴が医療の場以外でも知っていただけるようになったように、一歩踏み出せばきっと世界は広がります」

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